レオ「ただ……悔しいんだ」
レオ「姫に釣り合わない自分がちっぽけみたいで」
レオ「力の無さ、魅力の無さが悔しいっ……!」
レオ「でもそれは、俺が今まで普通に生きてきた
報いでもある。だからこんな自分が嫌いだ!」
良美「そ、そんなことないってば!」
レオ「気休めはいいから」
良美「気休めなんかじゃないもん!」
レオ「じゃ……じゃあ何だってのさ」
良美「本気なの!」
レオ「はい、本気?」
良美「対馬君の良さを分かって好きになってる人間が
ここにいるの!」
良美「だから……自分の事を嫌いとか言わないでよ……」
レオ「好きって」
良美「私が」
佐藤さんが自分を指差して、
良美「対馬君を!」
そして俺を指差す。
良美「ってあぁぁっっっっ!!!」
良美「い、勢いでついに言っちゃったぁ!」
夕陽にも負けないぐらい紅に染まる佐藤さんの頬。
レオ「さ、佐藤さんがこの俺を?」
良美「(こくこくこく)」
恥ずかしいのか、必死に頷いてる。
レオ「佐藤さん……姫専門じゃないの?」
良美「エリーとは全く別の次元の話だよぅ!」
レオ「あ、ごめん。ちゃかすつもりじゃなかった」
良美「は、恥ずかしいよ……ちょ、ちょっと待ってね
深呼吸するから」
ぎこちなく言葉を紡ぎ出す佐藤さん。
その初々しい動作が愛しく見えた。
良美「ん……だ、だから」
良美「エリーと別れて傷ついた直後に
こんな事言うなんて卑怯かもしれないけど」
良美「対馬君を元気にしてあげたいっ!」
良美「私、エリーみたいに輝いてるわけじゃないけど」
良美「す、好きな男の子ぐらい、元気にできるもん」
良美「だから……」
良美「私と……」
良美「付き合ってくださいっ!」
告白!?
逆境に弱い俺の脳に電流が走った。
というか何で小生が、佐藤さんに好かれてるの!
別に幼い頃何かを約束した、とか。
不良や猛犬から助けた、とか。
そんなエピソードは1つもない。
レオ「佐藤さん……1ついい?」
良美「2つでも3つでも」
佐藤さんはグッ! と身構えた。
でも緊張しているのか体は震えている。
レオ「いや、あの」
レオ「俺のどこ……好きになったわけ?」
我ながら情けない問いかけだけど。
今は自分が嫌いだから、聞きたかった。
良美「えーと、ど、どれから言おうかな」
レオ「そんなにたくさんあるの?」
良美「まずね、優しいとこ」
良美「いつもまわりに気を配って、自分はこらえて
相手を立ててあげてるし」
良美「やっぱり気遣い出来ない人は怖い……から」
良美「それに、いつも自分を抑えてるけど
いざとなったらとっても男のコ
らしくてカッコイイとこ!」
レオ「お……」
良美「自分の悪口じゃなくて友達の悪口で怒る熱いとこ」
良美「弱いものにも優しいとこ」
良美「やたらに嘘はついてないとこ」
レオ「ほ、他にはないかね?」
俺はかなり立ち直っていた。
なんか俺、いい奴だな。
良美「後は……その……ちょっとミーハーだけど」
良美「顔が結構私好み、とか、あはは」
レオ「佐藤さん……!」
これはマジで気休めや、からかいじゃねぇ!
日頃から俺の事を見てくれている人の発言だ。
そういえば佐藤さんは確かに俺に優しかったよな。
基本的に皆に優しいから勘違いしないように
気をつけてたけど。
そうか……真実だったのか。
嬉しいな。
良美「だから対馬君が、私と付き合ってくれたら
……幸せかなぁって……」
レオ「──」
こんな不意打ちみたいな告白反則だ。